もう人が少なくなった教室。
こっちに走ってくる
足音がした。
「美優ちゃん。ちょっといい?」
「いいよ?」
山ちゃんだった。
山ちゃんは
あたしが座ってた
隣の席に座った。
「ずっと考えてたんだけど…」
それは
鈴村とのことだった。
鈴村は本当に
すごくもてて
友達に鈴村のこと
好きな人がいて
そのこと知っててつきあうのは
いいのかってことだった。
自分だけ
幸せになっていいのかって。
「山ちゃんがそうおもっても…」
「うん」
「鈴村が好きなのは山ちゃん。」
「うん」
「山ちゃん以外の誰でもないよ。」
あたし
泣きそうだし。
「ありがとう」
山ちゃんは
帰っていった。
ふーっとため息をついた。
机に
涙が落ちた。
だってもう
しょうがないよ。
その通りだもん。
鈴村が
山ちゃんのこと
好きだもん。
本当は
本当は、
悔しくてたまらない。
悲しすぎる。
そして
愛おしい。
だから
だから、
幸せになって。

