国語の授業。

みんな
黙って配られた
問題を解く。

鈴村は
もちろん
うるさい。

あたしの消しゴムをとったり
引き出しをあけたり…

「消・し・ゴ・ム!」

「いやだ。」

あたしの消しゴムは
鈴村の左手の中。

あたしは
取り返そうと
手を伸ばす。

だけど
全然
だめで…

「てかお前手冷たい。」

「えっ?」

確かに
冷たいかも。

「鈴村手があったかいね。」

「うん。」

消しゴムなんて
忘れて…

鈴村は
冷たいあたしの手を
優しく包んだ。

「お前冷たすぎだし…」

「手が冷たい人は心があったかいんよ。」

「心があったかい人がぬくいんよ。」

あたしいつも
冷たいし。

お兄ちゃんが
言ってくれた。

手が冷たいのは
心があったかいんだって。

鈴村を見ると
すごく近くに顔があって…

あたしたちは
同時に
手を離した。

あたしは
ちょっと
恥ずかしすぎて
手で顔を隠した。

「本当恥ずかしがり屋。」

そういって
笑った。