なんか
すごい…。

山ちゃんに
鈴村に…。

鈴村は
ずっと話しかけてくる。

うれしいけどさ。

けど
心の中は
複雑で…。

話したいけど
そんな話せないし。

ある授業のとき

「ねえここもって。」

机の横に
かけられたスクバの
肩に掛けるところを
片方差し出された。

「うん。」

スクバの中からは
黒いふわふわのマフラー。

「持っといて。」

渡される。

「気持ちいいやろ?」

「うん。」

鈴村は
満足そうに
笑った。

「俺さ髪短い方が好きよ?」

返す言葉も見つからず
あたしは
山ちゃんの背中を見ていた。

「俺のファイル。」

カバンから出された
ポケット式の
ピンクのファイルには
ヨーグルト
やきプリン
って
鈴村の好きなものがかかれていた。

少し目をずらすと

IAiri

KoukiAiri

いろいろ
書いてあった。

「プリンとか書いたのは俺やけど」

別に
いいよ。

「こういうのは俺じゃないから。」

字を見たら
すぐわかるよ?

山ちゃんでも
ないってわかる。

別に
否定しなくたって
鈴村たちは
付き合ってんだから
堂々とすればいいじゃん…