少しいらつきながらも
眠りについた。

あたし
一部だけしっかり
覚えてる。

いつまでも
眠っていたかった。

あたしの心は
どうなってんだろうね?

もう、
達弥くんとか
思い出せない。

あたしは
あいつしか…

あたしの願いは
叶わない。

というよりか
叶っちゃいけない。

「ねぇねぇ。」

鈴村が
窓から顔を出している。

その隣にあたし。

「何?」

「俺さ、お前と離れたくねー。」

「えっ?」

冷たい風が
今のあたしには
心地よい風邪に感じられる。

「だからさ。」

鈴村は
あたしを
まっすぐに見る。

「だっだから?」

鈴村は
あたしに抱きついた。

「俺、本当に一緒いたい…」

鈴村は
あたしを抱きしめたまま
話を続ける。

「だけど…」

あたしを抱きしめる力が
弱くなっていく。

だんだん離れて。

あたしは
勢いのまま
鈴村に飛びついた。

「あたしも。離れたくない!」

鈴村の無造作にセットされた髪。

甘い香水のにおい。

キラキラ光る目。

本当に全てが好き。

好きなのかも…

「鈴村ー。」

半泣きなあたし。

鈴村は
優しく
あたしを抱きしめ返した。

「梶山…。」

あたしは
ゆっくりと目を覚ました。

時計の長い針は
3時をさしていて
短い針は
10分を示していた。

どうせ夢…。