「ねーえー」


木で造られた小さな小屋には、二人で座るのがやっとのソファーと机だけが置かれている。


その小屋には1人の青年と、1人の少女が住んでいた。


「ねえってばー」


先程からソファーで青年の腕に手をからめて体を揺らしているのは、街を歩けば大抵の男性を振り向かせることができるであろうほどの美貌をもった少女である。


長い間、青年は少女のことを無視していたのだが流石に耐えられなくなったのか、大きく溜め息をつくと、少女のほうを向く。


「………なに?」