その鐘の音に、シンデレラは怯えたように肩を揺らす。 「……早くしないと、帰ってきちゃう」 その小さな呟きは、魔法使いにまでは届かず、なお鳴り響いている鐘の音にかき消されてしまう。 「ほら、行くわよ」 シンデレラの弱々しい表情も、次の瞬間には消えていて、いつも通りの自信に満ち足りたものへと変わっていた。 しかし、魔法使いは気付いてしまう。 魔法使いを掴むシンデレラの右手が、ほんの少し震えていることに。