「ちひろ。」

久しぶりに怜の夢を見た。
私を呼ぶ怜の声はいつも優しかった。
他の人とは何か違う特別な感じだった。
私はその声が好きだった。


……怜は千尋の彼氏だった。
そう。だった。
ちょうど一か月前、7年間の付き合いを途絶えてしまったのだ。
私から。
理由は…なぜだったんだろう。わからない。
怜は気をよく使ってくれるし優しくて思いやりがあった。
でも何かが違ったのだ。何かが。
なぜだろう。深く考えたけれどまったくわからない。
と、うじうじうじうじうじうじ考えていたら日がすぎて結論が出ないまま一か月が経ってしまった。