「あの、ぜんっぜん答えになってませんよ?!」


「ぶはははは!!
ま〜いいや!ねえ、今日さ、一緒に帰らない?」


今度はさっきのくしゃっとした笑顔ではなくて、優しく微笑むような綺麗な笑顔だった。



断る理由もなく。
いいですよー!と言うと、じゃあ放課後また来るね!!って手を振りながら渡り廊下がある方へ走って行った。




フフ、相変わらず可愛い先輩。



自分の席に戻ると、前の席の美音はともかく、さっきまで廊下側にある自分達の席にいた悠哉と斗真くんまで来ていて、こっちを見ていた。



「瀬川先輩、なんだって〜?」

ショートカットの髪を手ぐしで直しながら、美音が聞いてきた。


「えっと、今日、一緒帰ろうって」


「……………」


美音はふーん、と悠哉をチラッと見る。


その悠哉はさっきから口を開かない。


「て!か!そこわたしの席だし!どいてよ〜」


わたしの席に座っていた悠哉の肩を軽く叩く。