わたしの想いがとどくように

弥生は驚いて、振り替えると、弥生は見たことのある顔だった。
学校で毎年開かれるミスコンの準優勝者、茂木栞だった。
いつも準優勝で、美華子が優勝だ。
男子は幸奈と暁が交互になっている。

「はい、なにかな?」

弥生は上履きを取り出し、履き替える。

「あの、友達になってください!」

栞は真っ赤になりながらいった。
弥生は素直に可愛いと感じ、快く承諾した。

「私でいいなら!」

弥生は明るくそういった。

「本当に?ありがとう」

輝くような笑顔をしていた。
弥生は今まで話す機会が欲しかったので、よかった。
これで栞とと仲良くなれる。

「弥生ちゃんは、友達が多いよね」

「そうかな?」

弥生は、そんな気はまったくしていない。
友達は皆大事だが、皆の視線はいつも3人にある。
幸奈も美華子も暁も目立つし能力もある。
幸奈は学年トップからはずれないし、次期相模家の当主だ。
美華子は有名な貿易会社の娘で、華道も茶道も上手い。
暁はすでに自分の仕事をしている。
そんな中で、自分は長けたものを1つだって持っていなかった。
だから、皆は弥生に近付く。弥生は分かっていた。
しかし、自分は友達を大事にしようと思っている。

「そうだよ、だって学校ほとんどが顔見知りでしょう?」

「うん、美華子がいざこざになると、助けるのが役目だからね」

「ふーん、そうなんだ」

栞は関心していた。弥生のクラスは2-A、広い階段を抜けたすぐのところだ。
高校なのに広すぎるのは、お金持ちばかりが来るからだろう。

「栞はクラスどこ?」

「すぐ隣りだよ」

「そっか!行くよ」

「えっ?わたしが行くよ」

「ありがとう」

弥生が笑うと、栞も笑った。弥生は教室にはいった。
弥生は、鞄をおき、外を見た。
今日もいい天気だった。教室の外には、すぐに木が茂っている。
弥生は窓を明けて、風を入れた。すぐに栞が来た。

「あ、きたきた。」

弥生は足音だけでわかった。まだ1人だから当たり前だ。

「座って!」

弥生は窓側の席に促した。栞は弥生の隣りに座った。
弥生は空を見ている。栞はじっとしていたが、弥生が話しかけた。

「空をゆっくり見ると、自分も空色の気分になれるよ」

「本当?」

「うん、あ、あの雲は綿飴みたい!」

「うわ、本当だ」

「美味しそう」

弥生はそう言った。また視線を移すと、桜が目に止まる。

「うちの学校は桜が多いね」

「創立者が桜が好きだったからね」

「えっ?!初耳!」

「そう?」

「うん、ありがとう!」

弥生は笑った。

「桜もストロベリームースみたいで甘そうだよね」

「弥生ちゃんは甘党?」

「そう!べたべたに甘いの大好きだもの」

「えー?!」

栞は嫌そうな顔をする。弥生は足音が聞こえた。

「百合!」

「おはよ!流石弥生!よくわかる」

「へっへーん!」

友達だ。中学から仲がよい。

「茂木栞さん?」

「今日、友達になったの」

弥生が明るくそう言うと、百合もぱっと明るくなる。

「そうなんだ、弥生は友達簡単につくるなぁ」

百合がそう言うと、弥生は笑ってみせた。
3人で話していると、だんだん人が増えて行く。
弥生は必ず1人1人に話しかける。
みんな笑顔で答える。弥生がいるクラスは必ずみんなが仲がよい。
昔からそうだった。弥生は栞を巻き込んでクラスメイト数人で話していた。
足音が聞こえてきた。