わたしの想いがとどくように

「私、幸奈の恋応援するよ!知ってるよ、中学校から好きでしょう?」

「…知ってたのかよ」

幸奈は真っ赤になった。弥生は苦笑いを浮かべた。幸奈は本当に好きなんだ。なんだか思い知らされる。悲しいと思ってはいけない。幸奈は幸せになる。そう、好きな人が大事な親友と恋人なんだ。それでいい、幸せな2人を見ていれば良い。自分は違う人と結婚するのだから。
航大くん、ごめんね。私は私よりも幸奈が大事みたい。

「ネックレス、わたしも大事にするね!」

弥生は思いきり笑った。幸奈は、笑い返した。

「大事にしてるだろ?ありがとう」

「そだ、美華子の好きなもの後でいっぱい教えてあげるね」

「サンキュー」

そのまま食堂に入った。すでに、呼んだ全員が来ていた。
2人ともすぐに席に着く。すでに料理が運ばれていた。
食べながら、弥生は幸せそうな顔をしていた。

「弥生、幸せそうに食べるな」

幸奈が隣から関心するように言った。

「だって美味しいもの」

「バイトだったの?」

「そうですよ、幸奈がたまたま来て、びっくりしました」

「そうなのか?」

「はい」

「幸奈、美華子と付き合っているんですよ!」

弥生はそういうと、祖母が反応した。

「本当か?」

「…はい」

「姉弟して上宮か…」

「いいじゃないですか!
めったに意思を言わない幸奈が望んで叶ったことですし、
幸乃ちゃんも幸せだし」

弥生は明るく言った。弥生はそのまま続ける。

「それに、私が他の人と結婚するし」

「そうだな」

弥生は、そういうとまた祖父がそう言った。
食べ終わると、弥生は祖母が食べ終わるのを待つ。
みんなが食べ終わり、いなくなる。
祖母はゆっくり食べる。弥生は祖母の隣りにいった。二人の時間になる。

「お祖母さま、わたし、少し悲しかったの。
今まで幸奈が美華子を好きなこと知っていたけれどね、
付き合っているって聞いて、心が割れそうになったの。
だけど、私は私なりの好きの形を探したい」

「…弥生、ごめんなさいね」

祖母は本当に済まなさそうにいった。

「幸平さんは弥生だって大事なのに、どうしても、会社のことに繋げてしまうみたい」

食べ終わり、そう言う。

「別にいいよ、私は幸奈の役に立てるんでしょう?」

弥生は笑った。祖母はそれをみて、弥生の頬をつまんだ。

「弥生、私の前では強がらないの」

弥生は祖母が心配そうに除くのに、悲しそうな顔をした。
でも、涙は流れなかった。

「本当は、幸奈が隣りにいればよかった。それだけで私は嬉しかったの」

「弥生は運命を変えられると信じてる?」

「信じたいけれど、私は臆病になるみたい」

「弥生なら、行動出来るわよ。だってあなたは"強く生きよう"としているから」

弥生は笑った。祖母の優しい言葉に感謝した。

「ありがとう、頑張ってみるね」

「弥生はその笑顔がいいわ」

「そうかな?」

「幸奈にも笑顔をあげてね、あの子は思いものを抱えていて、
あまり笑えないけれど、弥生の前では笑えるみたいだから」

祖母がそう言うと、弥生は俯いた。今まで考えなかった。
幸奈が必要としてくれていること、事実だったら嬉しい。
本当に、それだけで良い。それだけで、幸せだ。
たとえ恋人になれなくても、たとえ誰か自分以外の人が隣りにいても、
幸奈がどこかで自分を必要としてくれるなら…

弥生は少し考えてからいった。

「私、幸奈のこと好きでいるよ。それがわたしの生き方なんだもの、
そばにいなくても、頼れるときに頼れる存在になりたい」

弥生はすっきりした顔をしていた。今までより少し大人になった。祖母にはそんな風に思えた。

「そう、よかった」

祖母は笑った。

「わたし、お祖母さまが大好きよ」

そう言うと弥生は立ち上がり、部屋に戻ろうとした。しかし、素朴な疑問が浮かんだ。

「お祖父さまとお祖母さまは、お見合い?」

「いいえ、違うわ。私たちは…従兄妹だったの」

弥生は少し驚いた。だが、だから祖父が厳しい理由もわかったような気がした。
弥生がそれを詳しくわかるのは、だいぶ先になる。