僕は手紙を開けた。




『杏菜ちゃんへ


杏菜ちゃん。


愛してるよ。


いつもの見てるよ。


彼氏がいたっていい。


僕のものにするから。


無理やり付き合わされてるんでしょう?


僕がすぐに開放してあげるからね!


安心して。


杏菜ちゃんが寂しい時に、手紙の中に入っている爪の臭いをかいで。


ぼくがそばに居るから。


じゃあね愛しの杏菜ちゃん。


杏菜ちゃん愛しのヒーローより』


なんだよこれ、気持ち悪りぃな。


「なんて書いてあった?」


杏菜が聞いてきた。


「聞かないほうがいいと思うけど、聞きたい?」


「いい。」

「そっか。じゃあこの手紙、僕が預かっとくね。怖いでしょ?」


「うん。」


「これから、誰から来たかわからない手紙は、開けないで、僕に渡して。大丈夫だったら、杏菜に渡すから」

嫌かな?自分宛ての手紙を人に読まれるのは


「よろしくお願いします。」


よかった。


「うん。」


「ところでさ、なんであんなに急いでたの?」


杏菜がいきなり聞いてきた。


「だって、杏菜が電話に出ないんだもん。なんかあったのかなって」


「そっか、ありがと」

「いえいえ、これから毎日電話、掛けるから、なんかあったら言ってね」



「うん。本当にありがとう」


「杏菜を守るためだもん!なんだってやってあげるよ!」