Childhood friend

「晴輝君!来夢君!」

私は中央階段の踊り場まで全速力で走った。


「うわっ!なんだよ、佐川」

晴輝君がすごくびっくりしていた。


「そんなに走って、まさか、杏菜になんかあった?」

私が名前を呼んだ瞬間に立ち上がった来夢君は焦ったように私に問いかけた。



「ちょっと嶺華、はやいよ」


息を切らして追いついた杏菜が言った。


「杏菜!大丈夫か⁉︎」


杏菜の肩を掴み、来夢君が聞いた。


「え?うん…大丈夫…だけど…」


「よかったぁ〜」


来夢君はしゃがみこんだ。


晴輝君はまだ、何がどうなっているか、わかっていない。


「え?なに?ん?杏菜になんかあったの?え?なかったの?」


「え?なかったの?」

来夢君が顔を上げ、言った。


「あるっちゃ〜あるんだけど、ないっちゃないよね…」


私はそう言って杏菜の方を見た。

すると、杏菜も苦笑いして、こっちを見ていた。