ある日のこと。
いつもみたいに、
無意味なうるさい牧師が村の集会場で演説をしていた。
集会場は村の中心部にある。
円形状の広場のようになっており、
真ん中にポツンと木の台のようなものがあるだけ。
牧師はその台に乗り演説をしていた。
「魔女は悪の化身だ」
牧師の話を、手の空いている村人が溜め息混じりにその話を聞いている。
「あら、賑やかね」
そこへ、エマルニアが通りかかった。
その日エマルニアは村へ買い物をしに来ていたのだ。
普段はあまり、人がいない集会場が騒がしかったため、
お祭りでもやっているのかと、
エマルニアは集会場を覗いた。
彼女は驚いた。
それと同時に納得した。
最近エマルニアの元へ、誰も相談に来ていなかった。
ああ、新しい相談相手ができたのか。
エマルニアは牧師を見て、そう感じた。
ただそれだけだった。
しかし。
牧師は違った。
エマルニアが通りかかった時、
何か嫌なものを感じていた。
牧師はただの人間だが、曲がりなりにもキリスト教の牧師なのだ。
妖気ぐらいなら感じることができる。
牧師は信者にエマルニアを追わせた。
あの女が何か知っているに違いない。
集会のあと、街へ帰り、
牧師はエマルニアを調べた。
金髪の長い髪の女。
梟を連れ、杖の持ち、黒いマントに身を包む彼女。
エマルニアはキリスト教の信者、誰が見ても魔女にしか見えなかった。