エマルニア



「はぁ」

本日中二度目の溜め息が漏れる。

今は昼休み。

窓の外を見ながら窓の桟に肘をつく。

生暖かい風が髪を巻き上げていく。

ボサボサになった髪を手で退けて空を見上げた。

あー夏の綺麗な快晴。

少し晴れやかな気持ちになるけど、考えなきゃいけないことがあるので、スッキリはしない。

お腹がいっぱいだから、少し眠くなる。

心地よい微睡みと夏の薫りを楽しみながら外を見つめる。

外では綾瀬くんや他の男子たちがバスケをしている。

相変わらず綾瀬くんはボールの扱いが下手くそだ。

すぐに手からボールがこぼれていく。

「めっずらしーじゃん。山花が綾瀬くん見て、溜め息なんて」

ぽーと見ていたあたしの隣に優里がドカッと座った。

なんで優里はいつもいつも元気なんだろうか。

確か、エステマの一人が脱退発表を昨日行ったはずなんだけど。

落ち込んでいる様子はない。

「優里は大丈夫なの?エステマ辞めるんでしょ」

外を見ながら優里に話しかける。

あたしのことよりも、きっと、優里の方が辛いだろうから。

あんなに溺愛してたんだし。

「そぉなんだよ!脱退するなんて噂なかったのに急に辞めることが決まったらしくて!もーほんとショック」

優里が大声で嘆いてる。 

相当ショックだったらしく、ガックリと項垂れた。

そんな優里を横目に見ながらあたしは綾瀬くん観察を続ける。

あ、転んだ。

けど、すぐに立ち上がりボールへ走っていく。

どうせ、またボール落としちゃうんだろうけど綾瀬くんって本当に諦めたりしない。

そこが格好いい。

「あ、そうだ!山花、解散ライブ一緒に行こ!」

ガバッと顔を上げた優里があたしに輝かしい笑顔を向けてくる。

エステマのライブなんて正直、気乗りしない。

「めんどいからパス」

ポツリと呟くように言ったその言葉は、優里をまた俯かせた。

趣味は押し付けるものじゃないとわかってくれることだろう。

でも、最近はいろんなゴタゴタのせいで体が重い。

何がストレス解消になるようなことをしなきゃ。

「はぁぁぁあ」

優里が魂も持っていかれそうな大きな溜め息をつく。

あたしもつられて溜め息をひとつ。

きっと、あたしと優里、二人とも疲れてるんだ。

もうすぐ、定期テストもあることだし。

優里とは今度、騒がしいところじゃなくて落ち着けるようなところに行きたい。

デトックス効果とか狙って温泉なんかどうだろうか。

ちょっと年寄りくさいかな。

「どっか行くなら温泉とかどう?」

優里が流石に可哀想に感じ提案してみる。

嫌ならまぁ、別のところに行こう。

優里とは付き合いも長いし多分、嫌とは言わないだろうとは思うけど。

「海のあとに温泉とか最高!山花、テスト終わったら絶対に行こうね!」

再び顔を上げキラキラと輝く瞳をあたしに向ける優里。

やっぱり優里は優しい。

温泉のこととか、海のこととか、水着のこと旅館のこといろいろ話す優里。

そんなことを話しているうちに、授業開始のチャイムが鳴った。