エマルニア



「いーや、忠告をしようと思ってなぁ?」

さっきまで、ゲラゲラ笑っていたアシフィックの顔が真剣なものになる。

まぁ、犬なんだけどね。

それより、忠告とはなんだろう。

あたし、変なことなんてしてない。

「何かに執着するのはやめた方がいいぜ。

お嬢ちゃん達は世界の観察をするのが仕事なんだからよぉ」

笑いたい衝動を抑えながら言ったからか、アシフィックの口角が若干ピクッピクッと動いてる。

まるで変顔をしている犬みたいだ。

これは、心の中で笑ってるな。

アシフィックはシリアスなことが苦手っぽい。

この顔を写メって某テレビ番組に投稿したい気分だけど、アシフィックに消されたくないのでやめておく。

「はいはーい。忠告ありがとうさん。ほら、学校へ行かなきゃ遅れるから先行くよ」

アシフィックの忠告と変顔を軽く流し、あたしは路地を出た。

学校へはまだ遠い。

時間にはまだ余裕があるが、遅刻は嫌なので早歩きで学校まで向かう。

その間、考えるのはさっきの忠告。

アシフィックは何かに執着するなと言っていた。

多分、綾瀬くんのことだ。

確かにあたしはエマルニアの為に世界の観察を何百年もしている。

だからって、なんで恋はしちゃいけないのかわからない。

生き物なら恋するのはしょうがないことだし、他のナンバーズだって報告はしてないだけで恋してるかもしれないのに。

あたしだけダメって言われてる気分。

なんで、アシフィックはそんなこと言ったんだろう。

別にルール違反なんかしてないのに。

「はぁ」

深い溜め息が漏れた。

考えなきゃいけないことが多すぎてナンバーズであることが辛い。

できれば人間になりたかった。

いつもの道をいつものように通り学校にたどり着く。

ここであたしはまた、人間の振りをして学校生活開始する。

たまには綾瀬くんに癒されていたっていいじゃないか。

一緒にいたいって思ってもいいじゃないか。