エマルニア




昨日は大変だった。

いつもよりも、大変だった。

あんな濃厚な定期集会もう2度と嫌だ。

目的も達成できなかったし。

まぁ、でも、1ヶ月の猶予ができたのは大きいかな。

綾瀬くんと、一緒にいる時間が少しでも多くなるのは嬉しい。

邪魔物はいるけど。

「よぉ、お嬢ちゃん。朝飯まだかー?」

ほら、邪魔物の使い魔が朝からギャンギャン吠えてる。

アシフィック・スレイは今、ボーダーコリーの姿を保っている。

昔は梟の姿がお気に入りだったらしいが、今は犬が良いんだと。

ベーコンを焼きながら、お座りして待つアシフィックの頭を撫でる。

さわり心地はとってもいい。

もこもこしている。

「気軽に触ってんじゃねぇーぞ」

そう言いながらもアシフィックの尻尾は左右に揺れている。

何気に嬉しそうじゃないか。

「もうちょっとで焼けるから待って」

あたしは頭をぽんぽんっと優しく叩いて、コンロの火力を上げて炒めていく。

今のあたしの姿は二ノ宮山花の姿で、制服にエプロンをつけている。

1ヶ月は二ノ宮山花として活動するから、まだこの姿でいれる。

昨日あんなことがあったけど、今日も平日だから学校もある。

「リビングにいて」

足にまとわりついてくるアシフィックを、いなしリビングにいるように指示する。

時間は6時半ぐらい。

今日はアシフィックのご飯を作ってあげなきゃいけないから、早めに起きた。

今日の帰りには絶対犬の餌を買ってこよう。

「おう!」

アシフィックは素直にあたしの指示に従い、リビングの方に向かっていった。

こんがりとした、いい臭いのするベーコンをお皿に乗せてリビングに運ぶ。

リビングでは、アシフィックがソファーの上でテレビを見ていた。

「机に置いとく」

コトッとお皿をソファーの前にある机に置き、あたしも自分のご飯を作りに行く。

「おう!ありがとな」

テレビを見てゲラゲラ笑いながらベーコンを摘まむアシフィック。

犬の癖に優雅だなコノヤロー。

まるであたしがこの犬の召し使いになったような気分だ。