first5は何も言っていないのに、この立ち回り。
さずが犬の中で一番賢いとされる犬種。
人間のような動きだった。
「待たせた」
first5が静に言うがあたしは、このボーダーコリーに夢中だった。
コリーの大きな黒い瞳があたしを見上げている。
なんて、可愛いのだろう。
賢くで格好いい、さらに可愛いなんて、最強過ぎる。
「彼は使い魔、アシフィック・スレイだ。お前の監視を担当する」
あたしの視線に気づいたfirst5がアシフィックの紹介をしてくれた。
アシフィック・スレイなんて、なんか人間のような名前だなぁ。
でも、最近はペットも家族の一員とする家も多いし、その類いなんだろう。
てか、彼があたしの監視をするなんて、ちょっと嬉しい。
1ヶ月ほどはアシフィックと一緒に暮らせるんだ。
散歩とか楽しみ。
「よろしくなNo.23のお嬢ちゃん」
「はい?」
アシフィックはにぃっと笑い挨拶してきた。
コリーとの幸せなペットライフを想像していたあたしは、いきなりのことにフリーズ。
なんか最近ビックリすることが多いなぉ、なんて現実逃避しちゃうぐらい固まった。
「ちゃんと人の話を聞け。彼は使い魔だ。喋ることぐらいできる」
first5がはぁーっと呆れ顔で溜め息をつく。
使い魔とは、あたしたちナンバーズを見ているエマニアルの使い魔だろうか。
あたしは、再度フリーズした。
よくわからないことがありすぎるんだよ。
「お嬢ちゃん、理解力ねぇーなぁ。俺はアシフィック・スレイ、エマニアルの使い魔だ」
アシフィックも呆れてるようだ。
でも、仕方ないじゃないか。
あんなに格好よくて可愛いボーダーコリーが、いきなり喋って使い魔だとか言われても実感ないし。
使い魔になんて会ったことないし、そもそもあれは伝説上の存在じゃないの?
てか、梟じゃないし。
どうなってんのかまだ理解できなくて、first5を見る。
first5はまた溜め息をつき、アシフィックに目を伏せた。
アシフィックも1つ溜め息を吐き、少しジャンプすると、白い梟となった。
「え、え?」
あたしが状況についていけず混乱していると、アシフィックはあたしの頭の上に止まった。
お、重い。
自然と礼をしているような形になる。
「ほーんと、お嬢ちゃんは馬鹿だなぁ。お前たち分身にできることがなぁーんで俺様にできねぇーんだよっ」
ギャハハッと大笑いしながらアシフィックはあたしの頭をゲシゲシと蹴る。
足の爪が刺さり、めっちゃくちゃ痛い。
