エマルニア



No.20、No.21、No.22ときて、次はあたし。

記録を取られるときのあのなんとも言えない感覚が伝わってくる。

走馬灯のようにあたしが高校生、山花だったときの記憶が、ぐるぐると頭の中を駆け巡ってきた。

綾瀬くんとの思い出が溢れてくる。

「ん?」

おかしな感覚に身を委ねている中、急に頭上から声が聞こえた。

この中で声を発せられるのはfirst5しかいない。

あたしの記憶で何かおかしなことがあったのだろうか。

「No.23、これはどうゆうことだ?」

「はい?」

頭を掴んだまま、あたしに尋ねてきたfirst5。

first5の疑問、あたしにだってわからない。

あたしの記憶はいつも通りに渡せてるはずだし、なんらおかしいことはないはずなんだけど。

「……まぁ、いい。次」

first5はようやく、あたしの頭から手を離した。

その瞬間、あの感覚は消えた。

毎度思うけどなんだか、頭がスッキリした感じがする。

「ご苦労、皆、頭を上げよ」

順調に記憶を取り終えたfirst5はそれを一枚のDVDのようなものにしていく。

それを頭を上げたあたしたちがぽーっと見ている。

いつもならそうなるはずだった。

でも、今日は違った。

DVDのようなものは2枚あった。

おかしいけど、誰も言葉にはしない。

みんな不思議な顔してみてるけど、first5は気にしてないようだ。

2枚のDVDを懐にしまいうfirst5。

同時に、三つ折りにされた紙を出した。

その紙にはあたしたちの行き先が書いてある。

紙を広げ黙々と読み上げるfirst5。

No.22はまた、戦場に行くらしい。

不満げな顔をしてるけど、やっぱりfirst5は気にしない。

次はあたしだ。

言わなきゃ。

卒業まではいたいって。

「No.23、お前にはイルカショーのイルカになってもらう。場所は江の島。バレんように気を付けて行け。では次、」

「すいません」

音読をしていたfirst5の言葉に被せぎみに、あたしは声をかけた。

音読は止まったが、first5が口を開けたまま唖然としてる。

他のナンバーズからも冷ややかな視線やら、驚きの表情を向けられているのを感じる。

今まで一度もこんなことなかったから全員が固まっていた。

「すいません、少しいいですか?」

仕方ないのでもう一度first5に声をかけた。

「あ、ああ」

ナンバーズがまだ固まっていたままだった、けどfirst5だけは動き出している。

さずがfirst。

でも、目は見開いたままで狼狽しているのは手に取るようにわかった。

「あたしは今、高校3年生の学生をしています。今はまだ、1学期の終わりです。

せめて、卒業まではこのままではダメでしょうか。卒業したらイルカショーでもなんでもしますから……お願いします!」

あたしは勢いよく、頭を下げた。

どうしても、綾瀬くんと一緒にいたくて、仕方ないんだ。

ダメだったらと考えると怖くて手をギュッと握った。

一緒にいさせてほしいと心から懇願した。

「………貴様、掟を忘れたわけではないよな?」

「は、はい」

first5は落ち着きを取り戻したようで、冷ややかな視線をあたしに浴びせる。

ゾッとするような冷たい声に思わず、土下座して謝りたくなったけど、綾瀬くんと一緒にいたい気持ちで乗り切った。