エマルニア



   街灯のせいで星も見えない夜。

月は出てない。

きっと新月なんだ。

波の音が小さく聞こえる。

あたしのすぐ横は吸い込まれそうな真っ暗闇。

足を踏み外せばそこは水の中。

ここは▲▼倉庫がある埠頭。

ところどころ街灯はあるものの、足元は真っ暗。

ちゃんと照らすにはもう少し街灯の間隔を狭くしないと。

時刻は23時少し前。

暗闇の中、1つの倉庫から光が漏れていた。

あそこが▲▼倉庫か。

重たい扉を左へ引き、中に入る。

そこにはただ、人が4人ほど集まっているだけだった。

集まっている人の姿はみんな同じ。

金色の長いストレート髪に左目が緑色、右目がブルーのオットアイ、深紅のドレスに、上から黒いフードつきのコート。

彼女らは入ってきたあたしを睨み付けるように見る。

あたしの姿もそいつらと一緒。

彼女達はナンバーズである。

No.20からNo.29のうちのどれか。

たぶん、時間に厳格なNo.26辺りだろう。

ナンバーズはあたしがナンバーズであることを確認し、安心したようで、みんな各々に、集まって話している。

「久しぶりねNo.23。前よりも少し魔力の質が落ちたんじゃない?」

腕を組み、壁に寄り掛かってあたしを睨み付けていたナンバーズが声をかけてきた。

嫌そうにしてるなら話し掛けてこなければいいのに。

彼女はNo.22。

 ナンバーズは基本、同じような姿だが、魔力の差や質は違う。

その違いでNo.を確認している。

彼女はあたしよりも魔力は多いが、質は良くはない。

そして他のナンバーズより目付きが鋭いのがNo.22の特長。

戦地ばかりに行っているから他人を信用できないらしい。

今も、他のナンバーズと少し離れた所にいる。

ちなみにあたしの魔力は他のナンバーズよりも高い質を誇っている。

そんなあたしの魔力の質はそう簡単に下がったりなんかしない。

「久しぶりNo.22。あなた、少し太ったみたい」

ニヤリと笑ってやれば、No.22の目付きは更に鋭くなる。

いつの間にか、団欒していたナンバーズ達が沈黙しあたしたちを怯えた目付きで見てる。

あたしとNo.22は昔から仲が悪い。

何故だか知らないけど彼女はあたしが気に入らないみたいで、いつも突っ掛かってくる。

「太ったんじゃない、筋肉をつけたのよ。そんなこともわからないなんて、観察能力、無いんじゃない?」

ふんっと鼻で笑うNo.22。

くっそ、ムカつく。

あたしたちナンバーズは世界を観察するためにある。

だから、観察能力をバカにされるのは最大の侮辱。