ピーンポーン





おや?またお客さんですか…。




今日はよく訪問者が来ますね。





「はーい…」




「警察です、相川南さんですね?」




「そうです」




「お話を伺いに来ました」




「どうぞ、上がって下さい…」




南は警察を家に入れた。




「相川さん、よく思い出して下さい」




「あ、私は…」




「そう、逃げないで、ゆっくりでいいから…」




南は、自分の『過去』についてゆっくり話し始めた。






南は両親を恨んでいた。




毎日お酒に酔って帰ってくる父、




暴力を振るう母。


表向きだけは“いい家族”




そう“仮面家族”だった。




いつしか、南はそんな両親に怯えて暮らしていた。




いつも両親の前では“いい子”だった。




ある日、頭の中から声がした…。
























「…僕が助けてあげるよ」




「僕は今日から君と双子だよ?」




「二人で、一緒に両親を殺そ?」




「南は心配することはないよ?」




「僕が一人で殺るから…君は大人しく僕の中で眠っていればいいんだよ」




「警察? ハハッ、大丈夫だよ 僕が何とかするからね」




「その代わり…親を殺したらずっと一緒だよ…?」




南は…




「うん……」





指南を受け入れてしまった。




南は軽い気持ちだった。





恐怖心なんて一つもなかった。




ただ苦痛から逃げたい。




一人ではなくなる。




自分を守ってくれる家族が増える。




そんな軽い気持ちだった。