Sweet Lover

「ああ。ゴメン、マーサ」

私が動揺のあまり、タオルケットを握り締める様子を認めた響哉さんは、慌てて私の左隣へと避けてくれた。

「つい、いつものクセで」って呟いていたことは、聞かなかったことにしよう、うん。


「今、英語でお話してたよね? ねぇ、誰と話してたの?」

響哉さんは、自分の肘を枕にして、私を見下ろす。

「それってジェラシー?」

余裕をたっぷり含んだその眼差しに何故だかイラっときたので、ぞんざいに言い返す。

「ただの質問っ」

「そう。残念」

さして残念そうにもなく呟くと、

「今のは、カレンから。どうやって俺の電話番号なんて知ったんだろうね」

と、教えてくれた。

……っていうか。

「カレンって、誰?」