「マーサ。
 添い寝くらいさせてくれてもいいんじゃない?」

大きなタオルケットに一人で包(くる)まる私を見て、響哉さんが笑う。

「だぁって……よからぬこととかしたりしない?」

「よからぬことって、これはまた人聞きの悪い。
俺は君のフィアンセだってこと、もう、すっかり忘れてない?」

くすりと笑いながら、そんなことを言う。
その笑顔があまりにも魅力的だから、何故か警戒心が解けてしまって、

「忘れたーっ」

なんて思わず甘えた声を漏らしてしまう。