「誰が張ってたの?」

パスを見せて、中に足を進めながら、先生に聞く。

「あれ、聞いてない?」

深刻な事態だと微塵も感じさせないような、軽い口調で先生は首を傾げる。

「もしかして、カーチェイスの……」

「正解」

よく出来ました、と、ぽんと頭をはたかれる。

「で、ソイツが今も私たちを見張ってるの?」

声を潜めて聞いてみた。

「まぁね。
 でも、きょろきょろしちゃ駄目。
 見張られていることに気づかないふりっていうのが大事なんだから」

……無理。
  私には、難易度が高すぎます、先生――。