人でごった返している会場近く。
先生は当たり前のように関係車両として、車で地下駐車場に向かう。当然のようにスタッフパスを取り出して、私にも渡してくれる。

「どうして私を連れてきたんですか?」

決まってるだろ、と、軽く肩を竦める。

「君が響哉のアキレス腱だからだよ。
 家においておいたら、攫われる」

「ちゃんと護衛も居るのに?」

須藤家のセキュリティーはしっかりしている。
監視カメラもあるし、護衛の人もいる。

「力づくで攫ってくような相手になら、それも効果はあるんだろうな。
 カルロスみたいに」

おいで、と。
スカイラインから降りた先生に誘われるままに、私も車から降りる。