Sweet Lover

仕方なく、まだ、膨らみの全くないお腹をTシャツ越しにちらりと見てから、話を続ける。

『その子の父親にもまだ伝えてないわけ?』

『確定したことはまだ伝えてないけど、予感がすることは伝えてるわ』

『――俺の知ってるヤツ?』

朝香は大きく頷いた。
そうして、佐伯の心の準備も出来ないうちにあっさり答える。

『ええ。
 花宮 真一くん』


――花宮 真一?
  佐伯は思いがけない言葉に、一瞬頭が真っ白になった。

二人が付き合っているなんて、誰も知らなかったんじゃないだろうか、今の今まで。

呆気に取られている間に、

『じゃ、ちゃんと報告したのでよろしくお願いします』

と、朝香は出て行こうとする。