Sweet Lover

ヘンリーさんに教えてもらい、庭の片隅に作ってある鳩のお墓へと参らせてもらうことにした。

初夏の風は頬に優しく、私の鼻腔に甘い花の香まで届けてくれる。


私はなるべく頭痛が起きないことを願いながら、ゆっくりと過去に想いを馳せた。

結局、響哉さんはマジックで私に鳩を見せてくれたかしら――。

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いつだったか、響哉さんの持つシルクハットから突然飛び出した白い物体。
きっとあれが鳩だった。

驚いた私は――、そう。

パパに抱きついて泣き出したんだ。

『ほら、須藤くん。
 真朝にはまだ早いって言ったじゃない』

『喜んでくれると思ったのに』

響哉さんは頭を掻きながら肩を竦める。