学校からの帰りは、毎日、ヘンリーさんが迎えに来てくれた。
彼は見た目を裏切らない穏やかな人で、私はすっかり慣れてしまった。
ゴールデンウィークの前日、私は響哉さんが飼っているというマジック用の鳩の話を切り出した。
「懐かしいですね」
と、ヘンリーさんは見た目を裏切る流暢な口調でそう言うと、目を細めた。
「でも、最後の一羽が数ヶ月前に亡くなってしまったんですよ」
変わらない穏やかな口調でそういわれたので私は、喉元までせり上がっていた『逢いたいわ』という言葉を飲み込まなければいけなかった。
――響哉さんは鳩がまだ生きている、みたいに言ってなかったっけ――
心の中に切ない思いが広がった私は、その後、お屋敷まで黙って過ごした。
彼は見た目を裏切らない穏やかな人で、私はすっかり慣れてしまった。
ゴールデンウィークの前日、私は響哉さんが飼っているというマジック用の鳩の話を切り出した。
「懐かしいですね」
と、ヘンリーさんは見た目を裏切る流暢な口調でそう言うと、目を細めた。
「でも、最後の一羽が数ヶ月前に亡くなってしまったんですよ」
変わらない穏やかな口調でそういわれたので私は、喉元までせり上がっていた『逢いたいわ』という言葉を飲み込まなければいけなかった。
――響哉さんは鳩がまだ生きている、みたいに言ってなかったっけ――
心の中に切ない思いが広がった私は、その後、お屋敷まで黙って過ごした。


