Sweet Lover

響哉さんは強く私を抱き寄せて、悪戯っ子を思わせる笑みを浮かべ、耳元で囁いた。

「どっかのホテルで一人でねるより、マーサを腕に抱いて寝たほうがよっぽど熟睡できる」

だから、このまま眠っていい? と、響哉さんに、はちみつを思わせる甘ったるい声で囁かれた私は、頷いてそのまま眠るほかなかった。

朝目覚めると、響哉さんは居なくて、『お陰でよく眠れたよ、また今夜』だの、『早く、長い夜を一緒に過ごしたいね』だの、書いたメッセージカードが置かれていた。


私は毎朝それを、クリスマスプレゼントを見つけた子供のようにしげしげと幾度も幾度も眺め、触り、カードにキスをしてそれを大切に取っておくのが習慣になってしまった。

カードから漂う、微かな香水の香りは、響哉さんが愛用しているものだった。
そういう、細やかな心遣いがとても好きだな、なんて――。

ついつい、顔がにやけてしまう。