Sweet Lover

「何、その余計な気遣い」

苦笑してばさりと言い捨てたのは、朝食後、半ば強引に私の心の内を聞き出した佐伯先生だった。

ちなみに、響さんは『パーティーと言ったらドレスよね』なんてひとりごちながら、朝食後すぐにどこかに出かけてしまった。

「余計ってことはないでしょう?
 響哉さんは長い間母親の顔も名前も知らずに過ごしてたみたいだし……。
 だから、すれ違うのは分かるけど。
 どうしても、もったいなく思っちゃうんです」

私は、一度話した心の内を、もう一度角度を変えて告げてみた。

「だったらそう言ってやればいいじゃん」

「でも、それって私に両親が居ないから――。
 その想いを押し付けることになりません?」

「押し付ければいいじゃない」

先生はきっぱりそう言い切った。

「そういうのをエゴっていうんじゃ……」