私は慌てて響哉さんの背中に隠れる。

「じゃあ、止めた。
 マーサ。
 婚約パーティーは夏休みに開いてもらおうか?
 それなら、6月の間に俺が準備できるし」

「……その、婚約パーティーってなぁに?」

「気にすることはないよ。
 ただのちょっとしたイベント」

響哉さんは軽く言い切る。

「そう。
 政財界の人間を中心に数百人を招待して、フィアンセを披露するって言うね」

佐伯先生がそれに続いて説明してくれた。


いやいやいや。
規模が大きすぎて、想像が出来ないんですけど、そういうの。

――どうしよう。



結局、朝食の席で、響哉さんは淡々と、あくまでも事務的に私との婚約パーティーの準備を始める旨を、響さんに伝えていた。