「で、朝食どうすんの?
 響様、待ってるみたいだけど」

先生は眼鏡の奥の瞳を、いっそ楽しげに細めて響哉さんを見た。

響哉さんは一瞬、あからさまに憂鬱そうな表情をしたけれど、その瞳を私に向けてふわりと笑った。

「行くに決まってるじゃない。
 報告しなきゃいけないこともありますし。
 ねぇ、マーサ」

「おや、そうなんだ」

……えーっと。
  ものすごく意味ありげな笑いを浮かべてらっしゃいますけど。


こういうとき、私は何て言えばいいのかしら――。

どう答えても、先生を悦ばせて、響哉さんをがっかりさせそうな気がして、困ってしまう。

「俺の代わりに準備してくれる?
 婚約パーティーの」

「いいよ」

先生は嫣然とした笑みを浮かべた。

「それはもちろん、須藤響哉になりきって、婚約者と一緒に色々と周ればいいってことだろう?」

うわぁ。
私の肩に当たり前のように手を回そうとするのはやめてくださいっ。