「響哉。
 そろそろ、葛城ちゃんが血相変えて迎えにくるんじゃない?」

立ち尽くしている私たちに、軽い口調で言葉を投げてくれたのはもちろん、佐伯先生。

いつもと違ったカジュアルな服も、これまたよく似合っている。

「――ねぇ。
 先生と響哉さんって、本当に身長同じ?」

どう見ても、先生の方が低く見える――。

二人は顔を見合わせた。
最初に口を開いたのは佐伯先生。

「ミリ単位で言えば違うかもしれないけど、結構近いんじゃない?
 こう見えても、俺は影ですから、普段は猫背で過ごしてるの」

――じゃあ、本当の佐伯先生って、どんな人なの――?

姿形を偽って、必要とあらば響哉さんそっくりになれる、なんて――。


なんか、先生って思った以上にただものじゃない気がする。