「いただきます」

なんと、驚くことにこの屋敷には執事だけでなくメイドまで居て、彼女が丁寧に食事の準備をしてくれた。

驚きもせずに、それに箸をつける佐伯先生を真似て、私も仕方なくミネストローネにスプーンをつける。

それは、普通の家庭でここまで手間隙掛けたスープなんてそうそう出来ないに違いない。――と、素人の私に思わせるような美味しいスープだった。

毎日、こんなに美味しい食事をとっていたからこそ、響哉さんが作る料理も美味しいのかしら――。

そんなことが頭を過ぎる。

やはり、私の頭の中には響哉さんのことしか浮かんでこない。

――どうしても。