冷蔵庫には、サラダがあった。ココアのついでに作ってくれたに違いない。

ってことは、最初から出かける予定だったのかしら。

ラップの上にのせてあったメモに従って、スープを温め、パンと一緒に食べた。

デザートのヨーグルトまで平らげて、お腹いっぱい。


時間を持て余した私は、白い紙に、さっき見たワンシーンを書き始めた。

少し前まで、私の記憶に全くなかったママの笑顔。
小さな私にせがまれて、抱き上げてくれる今よりずっと若い響哉さん。

そして、椅子に座って苦笑しているパパ。

――でも、駄目。

パパの顔が書けないわ。
上手く、思い出せない。