Sweet Lover

「どうして?
 すごく素敵なのに。そんなに照れることないじゃない」

……思い出したっ。
  パパとママは私に将来の夢を押し付けるような人ではなかったけれど、私が絵に夢中になっていた頃、「画家になればいいじゃない」って言ってくれた気がする。

「私、小さい頃画家になりたいって言ってた?」

記憶を確認するように響哉さんに聞いてみる。

響哉さんは懐かしそうな目でふわりと笑う。


「一度だけ、マーサの口からそう聞いたかな。
 でも、じゃあ、俺が画廊を開いてマーサの絵を全部飾ってあげる、って言ったらきょとんとしてたけど」

……画廊なんて、小さな子供には難しすぎる言葉なのでは。

「今からでも遅くないよ。
 ね、いつだってギャラリーの一つや二つ、立ててあげる」


甘い笑顔で、何でもないことのようにそう言っているけれど、私が頷いたら本気ですぐにでもギャラリーの準備を始めそうで、怖い。