Sweet Lover

それから、私の表情が曇っていることに気づいた響哉さんは、そんな顔しないで、と囁くとココアの味がする私の唇にキスをする。

「でも、結局手品なんて種も仕掛けもあるわけじゃない?
 だから、より自由な鳩や、他人を演じる俳優に憧れたのかもしれないな」

そこまで言うと響哉さんはおもむろに立ち上がった。

「絵、完成したら貸してくれる?」

「いいよ。
 プレゼントしても。
 でも、額に入れなくてもいいから」

「何言ってんの。
 これだって、額に入れて部屋にずっと飾ってたんだから。
 もちろんアメリカにも持っていってたよ」

「そ、ソレは駄目っ」

子供の絵なら、まだ可愛げがあっていいかもしれないけれど。
こんな変哲も無い絵まで飾られたらどうして良いのか分からない。