Sweet Lover

「私のフィアンセだって言ってたけど――」

クツクツと、先生は喉を鳴らして笑う。

「それで着いて来ちゃったの? 真朝ちゃん。案外乙女チックなところがあるんだね」

いや、別に私が夢見る乙女だったわけじゃなくて、パパ直筆の書類を突きつけられたし、白石から迫られて逃げたかったし――。

と、言い訳しようと思ったら、電話を取り上げられてしまった。

「マーサ、ココアが冷めちゃうよ。
 いつまでこんな男と長話するつもり?」

響哉さんは、わざと電話の向こうにも聞こえるようにそう言った。