Sweet Lover

「響哉さん、電話」

「誰から?」

トレーにココアと珈琲を載せた響哉さんは手を外さずにそう聞いてくる。

電話を見ると「佐伯頼太」と名前が入っていた。

「佐伯先生」

ああ、と、響哉さんは笑う。

「代わりに出てくれない?」

「もしもし」

「……はぁ」

何か叫ぼうとでもしていたのか、先生は私が出てきたことを知ると疲れたようなため息を一つ。

「響哉は?」

「今、手が放せないみたいで」

「ああ、そう。
 ねぇ、真朝ちゃん。彼氏は選んだほうがいい。
 今からでも遅くないから、そこから逃げなさい」

――に、逃げるって言われても……。どこに?