Sweet Lover

『お前、鳩なんて飼ってんの?』

『ね、変わった趣味してるよねー、須藤くんって。
 伝書鳩?』

ママの言葉に、キョー兄ちゃんは首を横に振る。

『いや。
 マジック用の鳩』

『マジック?
 キョー兄ちゃんもお絵かきするの?』

おえかきにハマッていた私の言葉に、キョー兄ちゃんは苦笑を漏らす。

『マジックって言うのは、それじゃなくって。
 そうだな、こういうの』

キョー兄ちゃんは、私をダイニングに置いてある子供用の椅子に座らせ、テーブルの向かい側に立つと、丁寧に一礼した。

『種も仕掛けもありません』

両手を広げて見せてくれる。