Sweet Lover

響哉さんは片手で私を抱きとめたまま、もう片方の手でジーンズからケータイを取り出した。

『マーサちゃん、見てごらん。
 これ、可愛いでしょ?』

真っ先に見せてくれたキョー兄ちゃんのケータイに映っていたのは――。

色が白く、瞳が円らな――。

『響哉。
 もったいぶらずに早く見せろよ』

座ったまま言うパパ。
でも、ママはいち早く私たちの傍に来て、ケータイを覗いた。

そうして、くすくすと笑う。

『あら、本当。
 可愛い子じゃない。
 こんな子になら、少しくらい噛み付かれたって文句は言えないわね。
 でも、須藤くんにそんな趣味があったなんで知らなかったわ』