Sweet Lover

当時、殊更に私が騒がなかったのは、キョー兄ちゃんがなんて言っているか理解できなかったからだ。

即効手を叩いて笑ったのが、パパ。

『やっぱり、響哉に彼女居るんじゃない。
 こんなところで油売ってないで帰ってあげたら? 傷が増えるぞ~っ』

はぁ、と、キョー兄ちゃんはこれみよがしにため息をつくと、未だ抱きついてよいかどうか判断がつかずに戸惑っている私を、ふわりと抱き上げた。

突然視界が広がった私は、きゃっきゃと大喜び。


『真一。
 お前が望んでいる彼女とやらは、とてつもなく色が白くて、相当な自由人だ』

『彼女自慢?
 だったら写真くらい見せてみろよ』

『了解』