Sweet Lover

『クマを書いてるの?
 こんなにいっぱい』

『そう。
 須藤君がくれたテディベア、本当にお気に入りなんだから。いつもべったりなのよ。
 もしかしたら、テディベアのことを須藤くんの化身だとでも想ってるのかもしれないわ』

『いや、響哉のことをテディベアの化身だと思ってるんだよ、きっと』

そう言ったのは、パパ。
言葉の端々に不機嫌が滲み出ていた。


『ねぇ、キョー兄ちゃん。てて、いたい?』

私は、目線の先にある響哉さんの手に、ばんそうこうが貼ってあることに気がついてそう聞いた。

ん? と。
片付け終わったのか、キョー兄ちゃんはやっと私の目線にまでしゃがんでくれた。

抱きついていいかどうか戸惑っている私の頭を、ぽんと叩くように撫でると笑って言う。

『忙しさにかまけて放って置いた子に、思いっきり齧られた』