Sweet Lover

今日の昼間、テレビで見た素敵なエンターティナーとは、まるで別人。

「響哉さんにとっては、はした金かも知れないけど、たくさんのお金と人が動いている凄いイベントなんだからっ。
 そんな風に言わないで。
 私もちゃんと協力するから」

とはいえ、私に出来る協力っていうのは、今夜早く寝ることくらいかもしれないけど――。

マーサがそこまで言うなら仕方が無いな、と、響哉さんは渋々頷いた。

それから、ふと悪戯を思いついたネコのように瞳を輝かせる。

「じゃあ、お休みのキス、して」

そうして、膝を曲げて、私の背にあわせてくれた。

――えっと。
  確かに、キスされるのには慣れたけど。
  もう、怖くないけど――。

改めてそういわれると照れくさい。