Sweet Lover

……どうしよう。

そんな、急に本音100%を聞かされても、どうしたら良いのか分からない。

どうやら、響哉さんから本音を引き出そうとしたら、「大人」な部分が根こそぎ消え去るみたい。

後ろから伸ばされた腕にそっと手をかける。

「でも、時間が無いんでしょう?」

ゴールデンウィークは来週の週末から始まるもの。

「だけど、あんなイベントよりずっと、マーサの方が大事だから――」

私は響哉さんの腕の中でくるりと再び踵を返す。

そうして、響哉さんを見上げて、思わず頬が緩んだ。

だって、私が少し拗ねたくらいで、ダイの大人がこんなに泣きそうな目をしちゃうなんて……。

ちょっと、冗談みたいなんだもん。