Sweet Lover

「……誰がっ」

私は真っ赤になって思わず響哉さんの腕を振り払う。

「じゃあ、独りで寝れるね」

良い子、と。
響哉さんの手が私の頭を撫でる。

「今日は色々あったんだから、もう、お休み――。って言っても、既に日付は変わってるけど」

「でもっ」

私よりも、響哉さんの方がずっと忙しかったのに――。

「響哉さんだって、寝なきゃ」

私が言うと、再び色っぽく目を細めてみせる。

「そんなに情熱的に誘われたら、お応えしないわけにはいかないかな――」

意味ありげに頬に指を這わせてくるから、茹蛸(ゆでだこ)みたいに頬を紅くした私は、またそれをはらって、一歩退(しりぞ)かなきゃいけなくなる。

――ズルイ。
  響哉さんはどうすれば私がどう動くか分かっていて、ワザとそんな風に言ってくるんだわ。