「マーサは、これを飲んだらお風呂に入ってお休み」

「えーっ。
 だって……」

抗議の声をあげようとした私に、しっと、人差し指でジェスチャーを送ると、響哉さんは椅子に座って長い脚を持て余すように組み、珈琲を口にした。

「わざわざここに押しかけてきた理由から説明してくれる?」

既にパンケーキにぱくついていた春花さんは、ふと我に返ったかのように顔をあげると、それをココアで押し流してから、口を開いた。

「だから、さっき電話でも言ったじゃないですか。
 それでなくてもDVDセットの販売が遅くなったのに、ゴールデンウィークの握手権が入っているってことを公開したから、もう、予約が殺到してさばけなくなってるんですよっ」