どこまでも溶けていってしまいそうな私の頬を手の甲で撫でながら、響哉さんがくすりと笑う。

「まだ、キスしかしてないのに、そんな表情(かお)するなんて――。
 俺のなけなしの理性、全部飛ばしちゃうつもり?」

耳に注がれる低い声――。
吐息が触れるだけで、身体はゾクリと電気が走る。

もう、私の理性なんて多分、どこを探しても見当たりそうになかった。

こくりと頷く私に、響哉さんは苦笑とも微笑とも取れない笑顔を見せた。


そして、とびっきり優しいキスを唇にくれる。

「これじゃ、本当にヘンリーの思う壺、だな」

「……駄目、なの?」

「まさか。
 大歓迎に決まってるじゃない。ほら、ベッドに行こう。
 もう一生離れたくないっていうくらい、俺の虜にしてあげる――」