「そうじゃなくて――」

しぃ、と、私の唇に響哉さんが人差し指を押し当てた。

「マーサ、不安なの?
 大丈夫。俺に身を任せていれば――。
 心配いらない」

良い子だから、ね、と。
見当違いのことをことさら甘く囁くと、響哉さんは再び私の唇にキスをした。

さっきより、深く、絡み合うキスを――。

言葉ごと飲み込まれた私は、もう、何を伝える術もなくなったのに。

それでもいいかって思っちゃうくらい、もう。頭の中は霞がかかったみたいに、ぼんやりしてきちゃった。


コトコトコトコト、長い時間をかけて丁寧に煮込んだ苺ジャムになった気分。

甘くて、熱くて、柔らかくて、そして。

端からとろりと、溶けちゃいそう――。