Sweet Lover

「あ、嘘だと思ってる」

響哉さんが、息が触れるほど近くに顔を近づけて、私に言う。

「……だって、朝早くから色々と忙しそうだったじゃない……」

「あれ?
 妬いてるの?」

からかうように言うと、そっと私の頬にキスを落とす。

「……誰がっ」

「だって今朝。
 ここに入れなくて困ってたじゃない」

今更ながら、朝の話を蒸し返すなんてひどすぎるっ。

「違うもん、あれは……」

起きたばっかりで、なんて見え透いた嘘をつくほうが、よほど気恥ずかしくなった私は俯いて唇を噛む。

響哉さんは私の髪をかきあげて、うなじに唇で触れた。

「びっくりしたんでしょ?
 分かるよ。
 事前に説明してあげれば良かったんだけど……。
 寝ているマーサを置いて家を出るのは嫌だったから、春花にそう言って、急遽呼び寄せたんだ」