Sweet Lover

「……意地悪したの?」

戸惑いがちに呟く私の言葉に、当然、とばかりに響哉さんが鮮やかな笑みを浮かべて見せた。

「恋の駆け引きって言ってくれる?
 この世で一番大好きになった子を、俺にもっと夢中にさせるにはどうしたらいいかって、そればっかり考えてるんだから」

――えーっと、マスコミを招いて派手なプロモーション活動をした後、正体不明な誰かに尾行され、留守中に馴染みの執事に押し入られるという散々な一日だったっていうのに……。

そればっかり考えていたっていうのは、さすがにどうかと思うんですけど――。